Don't be material!

7 MEN 侍の矢花黎くんを愛でる日々の備忘録

【朗読劇『ピース』- peace or piece?-】peaceから漏れたpiece

もはやゴロカツペアのファンなのか?ってくらい、このペアの作品が好みなのと、

meromero887days.hatenablog.com

A.B.C-Zはハシちゃん名義でFC入ってるのとで、公演決まった時からチケット取ってたこの公演。観てきたー!

 

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事前に公式HPに目を通してから挑んだ。今回の作品はスズカツさんのオリジナル脚本らしく、『全体主義的政治』『監視社会』『衛生的=正義』『禁煙・禁酒・ベジタリアン推奨』の世界で、こんな世界を象徴するようなウォーター・バーを経営する男とその常連客の話。うん、絶対自分好みだな、と確信してチケットを取ったよね。

 

サザンシアターは初めて行く会場でそれも楽しみのひとつだった。行ってみたら、アクセスしやすいし、横幅狭め・縦に眺めで段差がちゃんとあって、適度な広さで好きだった!モボで通ったステラボールは、横に広すぎて端っこの席の時は身体の向きおかしなことになってたから...。

 

以下、観劇直後に印象に残ったフレーズ等のメモ箇条書き。

 

・死んでもこの世に原子で存在するから、死という概念は存在しないというマスターのオカモト。

 

・それでも、常連客のレンジョウから「なぜ生きているのか?」と問いかけられると「生きてるのが好きだから」と答えるオカモト。

 

・レンジョウはオカモトのことを「諦めるのが好き」と評価している。

 

・政治は理想的であればいいが、革命は現実的でなければいけないため確実な結果が必要である。

 

・レボリューションとエボリューション

 

・黒い服は悪で、白い服は正義。

 

・進化しないやつは革命が必要。

 

・明日死ぬように生きろ、永遠に生きるように学べ (ガンジー)

 

・権力者の飛沫が染み付いたマスク 

 

・慎重であるより、大胆であるべき (進化しないやつには革命が必要、に繋がる?)

 

観劇している間、大学時代にゼミ仲間に聞いた「大きな暴力・小さな暴力」の話を思い出した。当時、そのゼミ仲間に聞いたのは、ある映画の中で描かれている監視社会の話で、政府が個人の何もかもを管理することであらゆる”小さな暴力”(迷惑行為レベルのものからあらゆる犯罪全て)は防げて安心安全の社会は気付けるけれど、そういう監視社会で市民がお互いを監視しあって何もかも管理されるのって、政府から市民に対する”大きな暴力”じゃないの??って話だった。

(ただ、この話超うろ覚えでネットで調べても全然出てこないから間違った単語で覚えているのかも......モヤモヤするー。)

 

今回のピースはまさにそういう監視社会の闇にスポットを当てて、そういう政府の大きな暴力によって生まれてしまった個人同士の悲劇に関しての話だった。公式HPでも「個人と個人の和解は可能なのか?ということを深堀りしたい」と書いてあったのを見てから観劇したので、最後の種明かしを見てとても腑に落ちた。

 

少し話が逸れるけど、最近世間的によく「多様性」について話題になるけれど(とても良いことだと思う)、自分も自分なりに多様性がある社会ってどんな社会なんだろうってよく考える。海外に計2年間住んでいた経験があるから、住んでいた2ヶ国と日本、それぞれの良いところ悪いところを自分なりに感じているから、一概に「日本最高!」とも「日本は全てにおいて他国に劣っている」とも思わない。ただ、多様性って何だろう・人権を守るって何だろうって真剣に考えている人が少ないというか、それについて考える機会がないまま大人になってそのまま年をとるということが通用してしまう国ではあるなー、と感じる。

 

今回のピースって、政府が理想とする『衛生的』な社会を作る上で、その衛生的な概念から少しでも外れる人達(飲酒する人・喫煙する人・LGBT・社会の歪みから犯罪を犯さざるをえなくなった人など)を絶対悪かのように扱っていて、その仕組みによって生まれてしまった個人の悲劇に関してもないものかのように扱っていて、多様性のある社会の対極の世界だなと思った。

 

色んな身体的・精神的・思考的特徴を持った人達が共存する=多様性のある社会を作るためには、その内のある一定層(今回の作品でいう政府)だけが考える「完璧で衛生的」な世界を作ってしまえばそうでない層にしわ寄せが行くのは当たり前。

みんながみんなAという事象に同じように感じる(=Aという事象に違う感想を抱く人は悪として弾圧して良い)世界は多様性のある社会でもなんでもなくて、ひとつの事象に色んな価値観があるのが当たり前でそのそれぞれに良いも悪いもなくて、みんなが少しずつ不便を容認することが前提の社会が多様性のある社会ではないのかな、と思ってる。

 

この作品の副題が-peace or piece?-なのは何故だろうって考えてたんだけど、全体主義でみんながみんな同じ方向向いて同じ感想抱くように仕向けられて一見”peace”に見えるその世界の中で、その世界の歪みとして漏れてしまった”piece”があるんじゃないの?って意味なのかなー、と自分なりに答えを出してみた。

 

作品の中で「権力者の飛沫が染みついたマスク」というセリフがあって、まさに今の子の世の中に対する皮肉的セリフだし、コロナに振り回されるこの世界で、peaceに見せかけてるけど漏れまくってるpieceがいっぱいあるよなと考える。

 

今このタイミングでこの作品を見ることができて良かった。

今度のスズカツペア作品は、ぽんちゃんとこんぴーのロビンで原作あり作品だから、原作読んでから挑むぞ!

 

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